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とんかつ通信(不定期刊行物) 第7号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。いつも当店をご利用下さり誠にありがとうございます。この時代に星の数ほどある飲食店の中から、すずやを選んでくだっさったことに心から感謝申し上げます。
 皆様の期待を裏切らぬように頑張って参ります。どうぞ宜しくお願いいたします。

<最近思うこと>〜予兆を受け止める事の難しさ〜

このとんかつ通信第7号を秋になったら書いてみようと思っていました。が、皆様ご承知のように暦の上ではとっくに秋になったはずなのですが、東京では相変わらずの蒸し暑い日々が続いていて、一向に秋の爽やかさが訪れません。とうとうしびれを切らして「未だに暑い、暑い・・」と愚痴から書いてみることにしました。
 それにつけても今年の蒸し暑さに本当にうんざりした方はとても多いのではないかと思います。気象庁の記録を調べたわけではありませんが、このような気象状況を「異常」と言わずして何が「正常」であるのか忘れてしまいそうでたまりません。
 天気予報では毎日のように「南からの湿った風が・・・」等と厳しい残暑の原因を涼しそうな顔で伝えてくれていますが、「これは異常です、大変です」と感情露わに伝えるべき重大なニュースなのではないかと思えてなりません。

 思えばここ一連の銀行の倒産も、例えばニューヨークダウの1万1千ドル突破も、母親の保険金目当ての息子の殺人も、事件を最初に聞いた時にはとてもショッキングな出来事なのだと思いますが、ニュースに慣れてきますと慣れとは怖いもので、だんだんとその異常さを何とも思わなくなってしまいます。
 「私には関係がない」「そんなこともあるだろう」と人間の寛大さ(?)が静かに浸透していくようで自分でもとても怖いことだと思います。
 
 聞いた話ですが、ゆでガエルが死ぬときは(当たり前かも知れませんが)死の瞬間まで自分が茹でられていることに気付かないそうです。
 少しずつお湯は熱くなっている、でもそれは"少しずつ"の連続です。最初から熱湯に投げ込まれたら、「熱いっ!」(と言うかどうかわかりませんが)と外へ飛び出すけど、小さな変化の連続には順応してしまうのでしょう。
 あるいはカエルの場合は”将来の予測”が出来ないのかも知れません。何かヤバイッと感じても今まで茹でられ死んだ経験はありませんから・・・。

 しかし生意気なようですが、最近、私達人間もカエルと変わることなく本気で将来の予測を出来ていないのではないかと思えてきました。
 正確に言えば世界中には”予測”をして警鐘を鳴らしている人は居るのですが、私達は事実からは目をそらしたい、出来れば本当のことは知りたくない、だから聞こえないふりをして気にしないふりをしているのかも知れない、そう思えてきたのです。
 なぜなら自分から変化させることは怖いし、将来を本当に知ってしまうと今までの快適さや、便利さを捨てなくてはいけない時が来るかも知れない。あるいはたった今から生活を変えたとしてももう間に合わないかも知れない。このように思うのです。

 理由はともかくとして、もし給料や支払いの遅延がよく起こることがあなたの会社が近い内に倒産するメッセージだとしたら(逆に急に羽振りが良くなることもあるらしい)、もし私の子供のおねしょ癖が親に愛情を求める子供からのメッセージだとしたら、もし彼の携帯がよく留守電になっていることがあなたの失恋へのメッセージだとしたら、あとで「そう言われてみれば・・」とか「今度からは気を付けよう」と過去を教訓にして反省できるのですが・・・。

 話は戻り、もし世界各地で起こっている異常気象が自然界からの人類滅亡へのメッセージだとしたら ・・・。これだけは過去を教訓には変えられませんね。

 

<とんかつ屋が選んだとんかつ屋>〜大戸屋〜

今回、同業者としてのプロの立場から是非皆様に推奨したいのは、前回までのような名声店や専門店ではありませんが、とんかつも有る、街の定食屋さんとして既にご承知の方も多いことと思います。
 今や都内中心に30余店を構える"ごはん処 大戸屋"さんです。

 もう随分(10年以上も)前から 池袋東口の三越裏に本店があり、高田馬場や石和に支店がありました。
 池袋の店は古い造りの2階建てで決してきれいとは言えませんでしたが、豊富なメニューと手頃(700円以下)な価格で一日中お客様の絶えることのない大変な繁盛店でした。(勿論現在も)
 さすがに当時は女性客はまばらで男性中心の”食べるだけ”の店という感がありましたが、私は他のほとんどの定食店がハンバークだしょうが焼きだと言った肉食メニュー中心の中で、この大戸屋さんだけは焼き魚、煮魚、野菜と言ったお袋の味を豊富にしかも安価に提供しているので、とても感銘を受けておりました。
 
 「飲食店は遂、売れるものだけを売ってしまう(例え作る側が面倒だったり、見すぼらしくてぱっとしなくても)お客様が本音で求めているもの、あるいは社会的視野で見て誰かが提供していかなくてはいけないものがあるはずだ、それを地味に売っていて、でもそれが逆に一部の人に根強い支持を受けている、見習わなくては・・・」と、当時の私の試食記録に書いてあります。
 5・6年前に吉祥寺駅北口近くに4号店を出店したときから、メニューや価格は全く変えずに、店やユニフォーム、メニュー表示等を女性客も意識した明るく清潔なデザインに切り替え、そして一気にブレイクして今日に至っています。

 私は同じ一人の人が例え同じ”とんかつ”を食べようと思うときでも、その時々の用途や動機(例えば、一人で晩めし代わりとか、デートで買い物ついでとかによっても又、家や会社の近くなのか、出かけ先なのか等々でも)イメージする予算や選ぶ店が変わってくると思います。
 最も気楽(カジュアル)な動機の時、この大戸屋さんは絶対にお奨めです。

*「大戸屋」 店舗は全国各所に在り。 連絡先:大戸屋お客様相談室 0120-72-0108 ロースとんかつ定食650円・おろしとんかつ定食700円他

「大戸屋」のオフィシャルページはこちらをクリックして下さい
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<すずやの食材情報>〜今年の新米〜

今年の新米は天候に恵まれ収量、品質共例年以上の出来栄えです。

 去る8月23日、私共に日本一の新潟県魚沼産のコシヒカリを毎朝精米して納めて下さる都内唯一の県経済連指定米店の「シャリジェンヌ三島屋」さん(新宿区大久保Tel03-3209-4322 )のご主人に連れられて、収穫前で緑の稲穂が一面にたなびく魚沼郡六日町を訪れてきました。
 
 田んぼを遠くから見たことはいくらでもありましたが、六日町農協の職員さんにご一緒頂き、実際に私達に届くお米を栽培してくださる生産者の方々や一つ一つの田んぼをお訪ねしてきました。
 そしてあぜ道から田に降りて、黄金色した稲の一粒ずつを手に取ってみて、改めて「お米が生きていること、本当に丹精に手をかけて育てられていること」を初めて体感しました。

 今年の夏が暑く、昼夜の温度差が高かったこと、梅雨にキチッと雨が降ったこと、収穫期前の最後の山場で台風が来なかったこと等がうまく重なって今年のお米はとても良い出来映えであることを教えてもらいました。

 私共のお店には新米が9月末から入ります。皆様どうぞご飯をたくさんお代わりして下さい。

       
第7号 –完–
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