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とんかつ通信(不定期刊行物) 第12号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。本日もすずやをご利用下さり誠にありがとうございます。
数ある飲食店の中から本日、当店をお選びいただけたことに心より感謝いたします。このご期待を裏切らぬよう、安全で良質な食材を使い、真心のこもった調理とサービスを実現出来ますよう今後共努力を重ねていきたいと思います。宜しくお願いします。

<青葉台店開店のお知らせ>

さて、お陰様にて3月23日(金)には東急田園都市線青葉台駅、駅ビル「リクレ」(青葉台東急スクウェア)5階食堂街に、ご飯にも玄米からこだわり大釜で炊きあげる「とんかつと銀しゃり新宿すずや」を出店いたします。
 
 かねてより私は、「美味しいご飯をお客様に提供させていただきたい」と強く思っておりました。(未だに実現がかなわぬ時があり申し訳なく思っております。)祖父が米卸を営んでいたこと、その祖父がこの日本の国を「緑の稲穂がたなびく美しい国にしたい」と願っていたことを知り、私もいずれその祖父の志を引き継ぎ、たとえ微力でも何か行動を伴った形にしたいと考えておりました。

 折から、将来必ず地球をおそうと思われる食糧難の問題。また現在においても世界的には先進国の中でも笑い者にされるほどの、低い食糧自給率の問題。食の洋風化、コンビニエント化追求に伴う国民の免疫力低下や若年層の精神的未成熟の誘因、あるいは成人病等健康上の問題等、「グルメ」「飽食」という時代の言葉とは裏腹に様々な食を取り巻く問題が取りざたされています。それらの解決を図るために私は、日本の伝統的な食生活、食文化の見直しが不可欠であると考えます。そしてそれには、まず多くの人に「主食」「米」がもつ本来の栄養や美味み、役割を再認識してもらえたらと思っております。
 
 大変微力ではありますが、どうぞこの心意気のもと開く新店にご期待、ご声援を宜しくお願いいたします。 (青葉台東急スクエアS5階045-985-8737)

<食べ物屋の潮流>〜二者択一より両刀使い、使い分けの楽しさを!〜

「生きるべきか、死ぬべきか」有名なシェークスピアの一節である。そもそも我々人間の悩みや煩悩は、この二者択一を迫られたときに始まるのではないか?と、最近思った。

 新宿のとある居酒屋に入ったとき、隣のグループが妙に盛り上がっていた。聞こえてきたのは「ドトールか、スターバックスか、」といった議論というか言い合いであった。
 「あんなタバコ臭いところでうまいコーヒーなんか飲めねー」「コーヒー一杯に毎日262円も出せるか」といったような内容であったが、私は一連のそれらの話が(同業という立場で)とても興味深くおもしろく、いけないことと思いながらつい聞き入ってしまった。

 わが社でも、もう20年近くドトールコーヒーのフランチャイジーとして店舗を運営している。新宿等のいわゆる繁華街ではご承知のように、近年スターバックスをはじめ似た形態のコーヒーショップが増え、わが社の店の売上も徐々に落ちてきている。同様にチェーンに加盟している知人などからも、「隣りにスターバックスが出来てしまって、売り上げが2割落ちた」などという切実な嘆きも頻繁に聞くようになった。

 ドトール本部でもこのアメリカからやってきた強力なライバルには神経をとがらせているようで、(競争社会という認識の上に成り立つ企業としては当然のことだとは思うが)2年ほど意識し前焦って、"エクセルシオールカフェ"という名のロゴ(看板やサインに使う店名の字体とカラー)がスターバックスにそっくりな店を作り、商標侵害の疑いを掛けられて急遽色をグリーンからブルーに変更したりして和解した経緯もあったぐらいだ。(この時私はドトールに加盟する一店主としてとても恥ずかしかった。もっと堂々としていてほしかった)

 冷静に見ると、わが国でのこのスターバックスの快進撃(約2年で200店)は、やはり先駆者・王者ドトールが20年以上かかって開拓した600件余のセルフ型喫茶店のマーッケット(一杯180円のコーヒー市場)店舗が既に全国に存在していた賜である。そのベースがあってこそ初めてその上で「ザ・サードプレイス(職場でも家庭でもない第三の場所)」といった素晴らしい理念を掲げ、深いローストと香りを大切にしたグルメコーヒーを売り物にしたスターバックスが、既存の国内勢力にそろそろ飽きてきた日本の消費者の皆さんには差別化された姿に映り、一時的にドトール派、スタバ派論争になっているのだと思う。
 しかし、これはどちらが良いか勝るかの話ではなく、単に私達に今までになっかった別な選択が増えて(良かった)という話ではないでしょうか。
 コーヒーを味わいながら本を読み、自分だけの豊かな時間を過ごしたいときにスターバックスを。気軽に美味しいコーヒーを飲むのならドトールへ、自分の使い分けを自慢できたらもっと楽しいかも・・・。

 

<とんかつ屋が選んだとんかつ屋>〜かつ好 東京〜

都内に数あるとんかつ店も、大別すると次の三タイプに分かれているのではないでしょうか?
 一つはいわゆる「和幸」さんに代表されるチェーン店、駅ビルや地下街等で一軒は必ずといって良いほど見かけます。メニューを見なくても気楽に入れる安心感が売り物です。
 もう一つは老舗グループ、これは都内に点在し、小じんまりと構えた一軒家などで、こだわりを持つ頑固な親爺さんが身内と共に店を支えています。上野界隈の御三家(ぽん多、蓬莱屋、双葉)の他、目黒の「とんき」さんや成城の「椿」さんなど、この欄でも何軒かご紹介させていただきました。私達の足をわざわざ運ばせているのは、品質に対する高い信頼感だと思います。そしてもう一つが、企業化されているが(つまり親爺さんが必ず店にいるとは限らないが)有る意味では老舗以上に様々な"こだわり"を持っている専門店、例えば水道橋、渋谷等に支店を構える「かつ吉」(かつきち)さん等のグループです(すずやもここを目指しているつもりです)。

 今回はこの三番目のグループの中で、最近は通信販売などでも徐々に知名度を上げてきた、静岡に本店のある「かつ好」(かつよし)さんをご紹介させていただきます。
 和風で古風であるがどこかにモダンさを感じさせる洒落た雰囲気の中に、二つの大テーブルと小さなカウンターだけの30席に満たないオープンキッチンの小さな店内。しかし、不思議な落ち着きと重厚感が漂います。メニューは全くシンプルで7種類ほど、奇をてらった物は一つもありません。
 「本物の"とんかつ"を!」という自信に裏打ちされたメッセージなのでしょう。「肉は・・・」等といった食材のこだわり表示も「・・・おかわり自由」等といったサービス表示も一切ありません。まさに「とんかつ」勝負なのです。
 老舗グループが使用するラードは使わず、サラダ油とごま油のブレンドで衣は軽くアッサリと揚がっています、しかしごま油の風味が香ばしく、食をそそります。

 軽い衣とは対極的に肉の旨みのきいた「ロース百匁かつ」(4000円)、ロース肉から脂を取り除き、「これがロース肉?」と思えるほどの軽さと赤身部分の食感を、わさび醤油で更にあっさり食べさせる「かろみかつ」(2600円)がおすすめです。

*かつ好 東京店 渋谷区・恵比寿ガーデンプレイスB2 03-5421-0080
 ※現在情報なし、閉店した模様・・・

       
第12号 –完–
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