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とんかつ通信(不定期刊行物) 第19号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。知らぬ間に「今年も残すところ・・・」と迄は大袈裟かもしれませんが本年もいよいよ終盤に差し掛かり、日に日に秋が深まろうとしています。一方世の中のほうは相変わらず不安なニュースや話題ばかりが多く、中でも毎週のようにやって来る台風、その結果なのか数多く出現する熊、各地で頻発する地震、浅間山の噴火等が人々に被害を及ぼしています。どんなに人間の文明が進んでも、偉大な自然の力の前には全くの無力であるという事を警鐘するかのような出来事が増えてきているように思えてなりません。

 ともあれ、本日も数ある飲食店の中から私共「すずや」をお選びくださり本当に有難うございました。心から厚く御礼申し上げます。今後もご来店戴いた全てのお客様にご満足いただける事を目標に頑張って参りたいと思います。至らぬ点、ご要望等をお気軽にお聞かせ下さいませ。アンケート葉書もレジ近くにご用意がございます。どうぞ宜しくお願い致します。


<飲食業の潮流>〜自然食ブッフェ店・・・果たして全国に広がるか?〜

今、"ブッフェレストラン"が話題を呼んでいます。ことに最新型の商業施設では飲食の「核」(集客の“目玉”の事、かつては"全国有名ラーメン店街"等)を"ブッフエ"が担う例が増えてきています。一つの流れが"イタリアンブッフェ"もう一つの流れが今回の"自然食"(料理ジャンルとしては和・洋・中折衷の家庭料理、手作り惣菜風料理がメイン)です。

 そもそも「ブッフェ」とはパーティー等のスタイルのことで「着席(コース)」か「立食(りっしょく)」かというような時に使いますが、ここではいわゆる「バイキング=セルフサービスで一人当たりの料金が一律の食べ放題店」のことを言います。
 ではなぜ“自然食バイキング”と言わないの・・・と言う話にもなりますが、敢えて"ブッフェ"と言うのは、"バイキング"というと「腹一杯食べる」という“量”をイメージしやすいのですが、もう少し(例えば自然食という)“質”を優しくアピールしているからでしょう。
 この"自然食"のキーワードはわが社のテーマとも共通していますが「安心、安全、健康、しかも美味しい」、或いは「"旬の地のもの"の素材を活かして自在に調理し提供する」「生産者と都会の消費者の"掛け橋"となる」等とやや理念的であります。これを実際に首都圏で100%実行する事はメニュー構成や仕入れの点で様々な困難や業界常識を乗り越えなくてはなりません。
 しかし、もともとぶどう園経営から自ら農業に携わり、そして"ブッフェ"という形で固定メニューを無くし、この理念を完遂しているモデル店、結果としての大繁盛店が福岡、北九州にあります。その名は"野の葡萄"と言い、(株)グラノ24Kという会社が経営しています(ちなみにこのお店では大人一人昼が1575円、夜は2310円です)。
 都会といっても九州ですから確かに海のもの、山のものの産地に近くあることは事実です。しかし本来“食の基本”とも言える考え方「地産地消」つまり、「その土地で採れたモノをその土地で暮らす人々が消費する」、或いは「身土不二」つまり「人と土は一体である」「人の命と健康は食べ物で支えられ、食べ物は土が育てる。故に、人の命と健康はその土と共にある。」を実践するこの“野の葡萄”は今や全国の飲食業者やデベローパー(ショッピングセンターやデパート等の商業施設開発者)から熱い視線を浴びています。
 この中身迄本物の“自然食ブッフェ”が全国伝播するか、その動きからは目が離せません。

<"すずや"の由来>〜今更でもないですが、一度お伝えしておきたかった〜

よく初対面の方との自己紹介の時に「"すずや"の杉山です」と言うと、「"すずや"の鈴木さんですか」と聞き返されることがあります。なるほど「すずやの鈴木」であれば覚えやすいのかもしれません。
 確かに今から51年前の昭和29年、すずやを創業した伯父と伯母は「鈴木」姓でありました。そして尚、この鈴木夫妻(伯母は今でも健在であります)は民芸品をこよなく愛しておりました。
 "民芸品"とはいわゆる"伝統工芸品"全国各地の生活用雑貨(焼き物等食器や家具、布類など)のことです。当時は民芸運動というのが盛んで、この運動のシンボルマークが「鈴」であったことから店名を"すゞや"としたという訳です。
 さらに創業当時は喫茶、軽食が主体であったことから昭和50年頃までは“民芸茶房すゞや”と言っていました。
 その後ハンバークやビーフシチュウ等の洋食料理が中心となり「茶房(さぼう)」では「喫茶店と間違われる」というので"民芸茶房・れすとらんすゞや"に改めました。
 やがて「まぎらわしい」と言われて"れすとらんすゞや"とした後、「すゞやが読めない」と言うので一時"suzuya"にしたのですがどうも「・・・らしくない」ということで悩んだ末の昭和の末期、丁度「売り物を絞ろう」、「名物品を皆に知っていただこう」という機運も沸いてきて漸く現在の"とんかつ茶づけ すずや"に落ち着いた・・という訳です。

 いやはやこうして振り返ってみるといろいろな迷いもありましたが、お店を半世紀も続けてこれたということは本当に皆様のお陰、大変に有り難い事だと思います。感謝

 

<とんかつやが選んだとんかつや>
〜新幹線に乗っても食べに行きたい本物の味「蝶屋」〜

半年ほど前知り合ったM氏に「とんかつの店をやっています」と話したところ、「俺はとんかつが大好きだ」と2日も経たない内に実際にご来店くださり「おいしい」「おいしい」と大変喜んでいただきました。
 そして“とんかつ談義”に花が咲き「杉ちゃん、静岡の“ちょうや”(実際に看板を見るまでは“長屋”とイメージしていました)知ってるか?あそこもうまいよなぁー」「古臭い小さな店だけど、僕は時々あそこのとんかつが無性に食べたくなって、わざわざ車を飛ばして行くんだ」と話してくれました。
 静岡は父の出身地という縁もありその名前は聞いたことがあるように思いましたが、果たしてどんなとんかつを出すのだろう??と、ずーっと引っかかっていました。

 先日台風のさなかの出張の折、漸く「蝶屋」を訪ねることが出来ました。
 その店は呉服町といって駅から近くのメイン商店街の中心に、確かに見過ごしてしまいそうな小さな間口で有りました。
 開いたままの扉からのれんをくぐると店内はカウンター中心に僅か14席、通路はすれ違うことも出来きない小さな店でした。しかし、昼時とはいえ大雨の中でもほぼ満席でその後も客足は途絶えませんでした。
 冷蔵庫から分厚い肉を取り出し、小麦粉を付け卵につけて細かーいパン粉を付け、弱火のガスコンロに二つ架けられたラードが入った鉄鍋に入れること約10数分、途中肉への火の通り方を箸を刺して窺う初老の職人さん、待って提供されたロースカツのうまい事うまい事、失われかけたとんかつやの原点がある店、はるばる来た甲斐がありました。

*とんかつの蝶屋 静岡県静岡市呉服町2-7 電話054-253-1739 とんかつライス上1800円 他 

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第19号 –完–
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