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とんかつ通信(不定期刊行物) 第20号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。本当に早いものでこの2005年もいよいよ後半に入ってしまいました。そして毎日蒸し暑い日ばかりが続きますが、日本だけを見てみても、新潟のように集中豪雨で被害が出るほど雨が多すぎる所には更にどんどん雨が降り、日照り続きで雨が待ちどうしいところには、まるで避けるかのように雨が降りません。どうにも望むようにはうまくいかないもの、バランスが悪いのは人間の社会だけではないようですね。

ともあれ本日も数ある飲食店の中から私共 「すずや」をお選びくださり本当に有難うございました。
心から厚く御礼申し上げます。今後もご来店戴いた全てのお客様にご満足いただける事を目標に頑張って参りたいと思います。至らぬ点、ご要望等をお気軽にお聞かせ下さいませ。


<世の中にも一言>
〜主旨はごもっともですが・・・かえって暮らしにくい世の中になっていく?〜

先日、大きな同窓会のある部会の幹事役になってしまい、部会員名簿を作成することになりました。今までほとんど交流がなかった10年上の先輩から30年下の後輩まで、50名近くの方の現在の連絡先を聞き出し、いわゆる連絡網を整備する必要性がありました。
 本来ネットの発達によって名簿集めは実に簡単に出来ると思っていましたが、実際には別の問題からいささか難儀なことになってしまいました。「この名簿は誰がどのように管理するのですか」「自宅住所/電話部分は未記入でも構いませんか」等々、確認の連絡が相次いで舞い込みました。特にお子さんの小さい、主婦の方等は、時節柄大変過敏になられているのです。いやはや大変な世の中になってきたな、とも思いました。

 個人情報保護法が施行されて3ヶ月、企業などからの情報流失が尚後を絶たない一方で、過剰反応ともいえる動きも相次いできたようにも思います。聞く所によると、4月下旬に起きた尼崎でのJR電車の脱線事故の際、「法律に抵触する恐れがある」と、家族や知人からの安否の問合せに応えない病院があったと言うことです。また、ある大学では卒業生名簿から氏名や就職先を非公開とした為に、現役の学生が就活の際、OB訪問できなくなったとも聞きました。同様に都内の小学校でも「緊急連絡網」に電話番号の記載を希望しない家庭には、メールやFAX等、他の連絡方法を取る(まさか郵便では??)と決めたとの話も新聞に書いてありました。
 結局、"個人情報を保護する"という法律の主旨は正しくても、義務なのか目標なのか、或いは何をどこまですれば違反にならないのか、等あいまいであること、学級名簿かクレジットカードの顧客情報かでは万一流失した時の深刻度は違うのに一律に規制したこと、等が原因となりかえって社会全体を萎縮させてしまっているように思います。社会生活ではある程度お互いの情報を知っておく必要もある、と思いませんか?

 ちなみに当すずやでは、4月を境に開店50周年記念の催事やアンケート葉書で頂戴した、お客様のご住所やお名前は全て厳正に処分を済ませました。何でも取っておきたい性分の小生には正に断腸の思いでしたが・・・かつて男女雇用機会均等法が施行された際、『ウェイトレス』『営業マン』『募集』等といった従来からの"職種呼称"が使えなくなり戸惑った経験があります。(流行のメイド喫茶は一体どうやって募集しているのでしょうか?)何でも「良かれ」と思って決めるのでしょうが結果として社会を萎縮させてしまう事が無いように祈ります。次は"コンプライアンス"かな??

<飲食業の潮流>〜地球史上もっとも豊な『食』の国"日本"そして"TOKYO"〜

この7月1日に東京の汐留に新しくオープンしたヒルトンホテルの高級ブランド「コンラッド東京」、その28階にあるメインダイニングはなんと"七ツ星レストラン"だと言う。なぜならここのオーナシェフ、ゴードン・ラムゼイ氏はロンドンを本拠に既に3店のレストランを経営しているが、その3店において合計ミシュラン七ツ星を保持しているからだそうである。なんと、またゴージャスなことだろう。

 パリ在住の芸術関係の仕事をしている友人に聞いた(昔から結構ワインや食べ物にうるさい奴であった)が、10年以上滞在していて三ツ星レストランには1回しか行ったことが無い、と言っていた。正確に言うと別に「行きたいと思ったことがない」、「周りで話題になったことが無い」との事であった。
 振り返ってわが国日本、今日、テレビや雑誌で"グルメ特集""グルメガイド"を見かけないことのほうが難しい。ネット上のグルメガイドの老舗"ぐるなび"もこの4月に上場を果たした。国内顧客(=会員飲食店)数は3万店、一般ユーザー登録数は300万人を超えたと言う。

 際限なく我々の欲望を刺激し続ける"溢れまくる食情報の国"「日本」。そして世界中で最も繊細と言われる"和食"を生み、更に世界中のある水準以上の各国料理、エスニック料理なら全てを食せる国でもある。またその日本の中でも世界中の有名シェフ、料理人が競ってあらゆるジャンルのレストランを次々とプロデュースする街「東京」。そこではまた、四季折々の新鮮な食材から世界中のグルメ食材迄手軽に入手することが出来る。

 「豊かさ」とは何か、と定義付けると「選択肢の多さ」と言えると思うが、正にこの時代、この国、この東京こそ地球史上来最も豊富な食の選択肢が与えられているのではないか、と思う。いつも同じ物ばかりを食べないで、例えヘルスメーターの数字を気にしながらでも、この恵まれた環境を謳歌してはいかがでしょうか??勿論"とん茶"もその一つに!!

<食の真実>
〜外国頼みの日本の食卓〜幕の内弁当・・・輸入食材が無ければただの??〜

農林水産省では、ほぼ20年毎に関西の東海道本線沿線での駅弁の「幕の内弁当」のメニューを調査しているとの事、それによると1960年当時300〜350gあったご飯の量は、1980年に270gに、2000年には240gに迄減っていたそうである。米離れの現れでもあるが、これに伴い、逆におかずの品数は14品目から16品目へ僅かではあるが2品目増えている。

 日本の食卓では欧米化が進んでいる、と言われて久しい。日本人の食生活は劇的に変化してしまった。米の消費はこの50年で約4割も減少し、逆に畜産物消費は5倍に、油脂類の消費は約4倍に増加している。
 脂肪とタンパク質を過剰に摂取する食生活が定着してしまった。幕の内弁当の中身もこの変化が端的に現れている。

 日本の食料自給率はカロリーベースで40%、1998年からほぼ横ばいである。つまり海外からの輸入食料が60%を占めている訳。主要先進国の自給率を見ると米国、フランスは130%を超え、ドイツが97%、英国が71%であるから日本がいかに低いかが判ってしまう。

 さて上記主題の幕の内弁当の自給率はどうなっているかと言うと弁当全体では70%、しかしご飯、大学いものサツマイモ、たくあんの大根のみほぼ100%近いが、他の13品目は全て10%以下である。つくねの鶏肉や卵焼きの卵等でさえ、養鶏に必要な飼料用穀物がほとんど輸入に頼っている為仕方無い。

 

<とんかつやが選んだとんかつや>
〜閑静な高級住宅街にある正直な店「かつ久(きゅう)」〜

東急東横線田園調布駅を降り、駅前の商店街(何故か不思議なことにコンビ二さえ落ち着いた雰囲気が漂っている!?)の坂を降りていくとその突き当たりに、店先に花を飾った静かな佇まいのとんかつ店があります。店内は10坪ほど、カウンターとテーブル席で併せて20席ほどの小さな店です。
 しかし、店内は清潔感が漂い、高級ではありませんが本当に掃除が行き届いて清々しいくらいです。カウンターの中では真っ白な白衣を着た、いかにも正直そうな親父さんが一人で調理をしてくれています。

 このような小さいけれど味の評判のとんかつ店に行くと、必ず“とんかつ屋の原点”を知り「八ッ」とさせられることがあります。
 それは本来、とんかつ店は調理も、キッチンも、メニューも、「実にシンプルである」と、言うことです。極端な話、肉を切ってパン粉を付けて揚げるだけ、冷蔵庫一つと油の入った鍋一つがあればよい、メニューもロースかつとヒレかつの二種類があれば良いのです。
 それでもお客様はただ"美味しいとんかつ"が食べたくて店に来る、これだけのことなのです。この簡単なことが実はとても難しい。いや、難しくしてしまっているのかもしれません。
 肉の旨みを逃さない為に"パン粉で包んでいる"んだ、またまた原点を再認識して席を立って会計して帰るまでに、この親父さんに4回「ありがとうございました」と言われました。

*とんかつ田園調布かつ久 東京都大田区田園調布2-48-15 電話03-3721-2629
特ロースかつ定食1800円 他

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