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とんかつ通信(不定期刊行物) 第11号

編集・発行すずや店主(軽薄?敬白?)

<はじめに>

皆様こんにちは。本日も"すずや"をご利用下さり誠にありがとうございます。数ある飲食店の中から当店をお選びいただけたことに心より感謝いたします。このご期待を裏切らぬよう、安全で良質な食材を使い、真心のこもった調理とサービスを実現出来ますよう、今後ともコツコツと努力を重ねていきたいと思います。
 変わらぬお引き立てよろしくお願いいたします。

さて、前号でお知らせしました「南大沢店」が9月1日無事オープンいたしました。
 お陰様で開業後一ヵ月位は毎日たくさんのお客様が詰めかけて下さり、実に嬉しい悲鳴でありました。が、しかしご承知のように自店の実力でお客様を呼んでいたわけではなく、隣接のアウトレットモールに買い物や見物にいらした方々が、「せっかく来たのだから何か食べていこう」と、たまたまお店に入って下さっていたに過ぎないのだと思っております。
 飲食店は新しい店、古くからの店でも拘わらず、一度何かのきっかけでご来店なさった方が気に入って2度目に来て下さるかで真価が問われます。
 これからが勝負、気を引き締めて参ります。

内藤剛志様々、感謝感激雨あられ!心より感謝いたしております。
 先月の末にフジテレビの「メントレG」と言う番組にご出演なさったタレントの内藤剛志様が、その番組の中で、「今一番食べたいと思っているもの」になんと"とんかつ茶づけ"をあげられました。
 お陰様で翌日以来、テレビをご覧になられたと思われるお客様が大勢、たくさん詰めかけて下さいました。内藤様本当にありがとうございます。紙面を借りて改めて御礼申し上げます。(これも実力の話ではなかった・・・)

<食べ物屋の潮流>〜内装と雰囲気はモダン和風で!〜

先日、知人の結婚披露宴に出席した際、同じテーブルを囲んだ人々が「そう言えばフランス料理なんて何年ぶりかなー・・・」と、口々に言っておりました。思えば西洋料理の代表格であったフランス料理も今は昔、飽食の国日本では「ワンノブゼム」となり下がり、わが国都市部での料理種類の多様化は益々進んでいるように思われます。

 そんな中で、料理のジャンルを問わず、今話題の繁盛店を分析してみると共通したエッセンスとしてインテリアや雰囲気の「モダン和風化」した店、という特徴が浮かび上がります。いわゆる"和食店"ではなく、単に"古風"な店でもない。構成している一つ一つのディテール(全体に対する小部分、細部のこと)は明らかに「和」の要素をもっているが、店全体の雰囲気としてはむしろモダンでムードがある店、が流行っているのです。

 数年前に西新宿のセンタービル最上階にてリニュアルオープンした"月の蔵"という店がその口火を切ったように思います。内装は勿論、料理も、食器もユニホームも和風です。しかし、店に入って感じる雰囲気は私達にとって全く新鮮でムードが良く、洋風のバーのような落ち着いた感じがするのです。

 言葉での表現に限界がありますが、見るところこれは店内の照明の使い方にポイントがあるのではないかと思います。いわゆる今までの"和風"は、例えば障子からの明かりのように全体がポワーンとほのかに明るく、そして、畳も青々しい感じでした。しかし、今流行りの"モダン和風"店ではまず店全体を薄暗く作り、天井に埋め込んだダウンライトやスポットライトをうまく使って、明るくするところは極端に浮き上がるようにスポットを当て、照明でのコントラストを際だてて、和風な中にモダンな雰囲気を醸し出しているのです。カジュアルな焼肉店や、いわゆるダイニング・バー、創作料理等という店などで多く見受けることが出来ます。

 

<食と健康>〜スロー・フードのすすめ〜

最近新聞等で時折”スローフード”という言葉を目にするようにりました。
 何かと思い調べてみると、スローフードとはまさにファーストフードの反対。しかし、ただ単純にアンチ・ファーストフードではなく「世界各地の食べ物や食文化を大事にしながら、生き方や自然との関係を見直そう」という懐深いスローガンだと解りました。

 その提唱はイタリアからとのことで、ファーストフードの代名詞的存在であるハンバーガーもその内容(ひき肉、ケチャップ、チーズ、ピクルス等)を分解するとまさしく料理としてのルーツはイタリアにあり、何とも不思議な因縁を感じてしまいました。

 この民間運動は今から14年程前、ローマにマクドナルドが進出した時から始まったとわかり、やはり事の背景には、急激な食のグローバル化進展に対しての様々な危機感があったことも事実だろうと思います。  しかし、過去にこの紙面でも提唱させていただいたように、真の”豊かさ”とは国民の選択肢が増えることであるので、ファーストでもスローでもどちらが良いかという二律背反ではなく、時にはスロー、時にはファーストと、時と場合とスタイル(TPOS)によって使い分けたいものですね。

 

<とんかつ屋が選んだとんかつ屋>〜麗庵かつ玄〜

松本駅からタクシーに乗って15分程、駅近くの住宅密集地帯から少し離れて静かになりかけたあたりの街道沿いに、裏山を背にしてひっそりと佇む、知る人ぞ知るこだわりとんかつ店のルーツ「かつ玄」があります。

 古い門をくぐり砂利の轢かれた駐車場でタクシーから降りると、そこはにまるで間違って民家を訪ねたかのような古い和風の一軒家と、都会では絶対に味わうことの出来ない静けさがあります。
 裏庭に入るかのように建物を回り込んで玄関に廻ると、初めてその建物と丹精に手入れをされた(しかしながら限りなく自然のままとも言えるシンプルな)庭の全貌が解ります。「うーん」思わずため息。

 古い(約150年位前)庄屋を移築したと言われる建物は黒光りし、かがむほど低い障子の引き戸を開けるとそこは土間、そこに丹精に磨き込まれたアンティーク家具や、シックな野草がさりげなく飾られ、凛とした美しさを演出しています。板の間に上がるとそこには炭のくべられた囲炉裏と帳場風のレジ(レジ風の帳場と入った方が正しい)があります。
 庭に面した奥の畳敷きの間に案内されると、そこの各テーブルも全て中央に炉が掘られ、鉄鍋に入れられた"田舎汁(野菜の多い豚汁のよう)"がそれぞれの客の前に掛けられるようになっています。

 「塩梅」(あんばい、料理のさじ加減?)と書かれたシンプルな暖簾の掛かった調理場からは、挨拶や返事の威勢の良い声と「コト、コト」というまな板の音が聞こえ、全ての雰囲気と相まって料理を待つ我々の期待をもり立てます。
 食前に供される漬物の数々は言うに及ばず、甘みのあるキャベツ、ご飯、そして勿論、切り口がピンク色した香り深く柔らかい肉に、よく寝かされたであろう濃いめのとんかつソースが絶妙に調和して、肉の旨みを引き出してくれました。
 正に至福のとんかつ屋であります。

*麓庵かつ玄 長野県松本市島内7717 電話0263-33-1129
 かつ玄風とんかつ定食(黒豚ロースかつと鉄鍋入り田舎汁の定食) 1800円
 おこひる弁当 2000円

「麓庵かつ玄」のオフィシャルページはこちらをクリックして下さい
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第11号 –完–
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